長男が作ってくれた野菜炒め。

「だいじょうぶ?オレ、晩ごはん作ろっか?」

夕方、体調がすぐれず布団に突っ伏していたら、長男が声をかけてくれた。

わたしの知る範囲では、チキンラーメン(お湯をかけるだけ)とパスタ(茹でて市販のパスタソースをかけるだけ)のレパートリーしか持ち合わせていない長男。

「じゃぁ、お野菜でなにか作って」

それなら面倒だからやらない!と言われるかなと思いながらお願いすると、案外と素直に冷蔵庫を物色し

「ニンジンとキャベツとピーマンで野菜炒めにする!」

そう言って、本当に野菜炒めを作ってくれた。

「火がすぐ消える!」「何から焼けばいい?」「これ、もう焼けてる?」

と、何度も呼び出しをくらったことは引き算しても、お野菜すべてにちゃんと火が通っていて、味付けも濃すぎず薄すぎず、上々の出来だった。

長男は今度の誕生日で10歳。人間10年もあれば野菜炒めを作れるようになっちゃうんだなぁ。

最近の長男は、エネルギーが有り余りすぎて家族と衝突することが多く、わたしもキツく言ってしまうことが増えた。もう手に負えない!と思うことさえある。

けれど、普段のあれは一体何を見ていたんだろう?と思うくらい、野菜炒めを作る長男は穏やかで優しさに満ちていた。

中島佐知子(サチカメ)

田舎暮らしに憧れ、東京から愛媛(西条市丹原町)へ家族5人で移住。念願の自然に囲まれた暮らしを楽しみながら、フリーランスとして出張写真撮影、古民家宿運営サポー...

プロフィール

関連記事一覧