子供たちにとっての移住。いつでも戻ってくる覚悟も同時に持つ。
こんにちは。フォトグラファーの中島佐知子です。
明日7月31日で、小学校も保育園も最終登校・登園日となります。
小学生二人はそれぞれに思うところがあるようで、夜になってクラスや学年の友達に宛てて手紙を書き始めました。
二人とも書いたものを見せてくれましたが、友達と過ごした時間の楽しかったことや、友達に優しくしてもらったことへの感謝の気持ちとともに、「また会おう」という言葉で締めくくられていました。
文章としては、まだまだ拙いものではありますが、気持ちが込もっていて、じーんと心に染み渡るものがありました。
明日、みんなの前で読ませてもらうのかな。二人の気持ちがクラスのみんなに伝わりますように。
今日はその流れで移住シリーズ、子供たちと移住について書きます。
引越しは子供たちの負担になるのでは?
移住するにあたり、「子どもたちに負担を与えるのではないか?」ということは、散々頭をよぎりました。
引越し、しかも東京から愛媛という距離は、保育園から積み重ねてきたお友達との関係を絶ってしまうことでもあります。
「もし転校したくないと言われたら?」「もし新しいところになじめなかったら?」「もし・・・」
ネガティブな想定もたくさんしました。
お友達と別れたくない
実際、「お友達と別れたくない」「転校したくない」とは言われました。
愛媛での生活が楽しみな気持ちも同時にあるようですが、それとこれとは別というか、別れは寂しいようです。
まぁ、当たり前ですよね。物心ついてからの引越しはできれば避けたかったです。
子供たちなりに複雑な気持ちを抱えていることが、話せば話すほど伝わってきました。
いつでも戻ってくる覚悟
子供たちがかわいそうだから移住を辞める、というのもまた違う。
そこで私たちは、「逃げ場を作る」ことにしました。
逃げ場というのは、「もし新しい土地が合わなかった場合、いつでも戻る覚悟があるよ」と伝えることです。
決してリップサービスではなく、本気でそう考えています。
新しく住む家はとりあえず賃貸物件です。合わなかったら引っ越しすればいい。
もし田舎暮らしが肌に合わなかった場合には、まぁ今のマンションは売ってしまうので同じ家には戻れないですが、東京のどこか別の場所に戻ってきてもいいと思っています。
定住する覚悟を持って移住することは、子供のみならず大人にとってもプレッシャーです。
それだけで体が固まってしまいそうです。
でも、「もし合わなければまた引っ越せばいい」という選択肢を一つ自分に与えるだけで、一歩踏み出す勇気が湧いてきます。
これは子供のためだけではなく、私にとっても大事な覚悟でした。
子供なりに前に進もうとする姿を見せられた
ある日、娘がこんな話をしてくれました。
「ぼくは、お友達と離れてかなしい気持ちと、新しい学校で新しい友達ができるっていう楽しい気持ちがあるけど、お友達はぼくがいなくなってかなしいって気持ちしか残らないから、お友達の方がかわいそうなんだ。だから、ぼくは大丈夫だよ。」
まだたった8歳の子どもだけど、こうして自分の気持ちを整理して前に進もうとしています。
その姿を見て、あれこれ親が勝手に心配するのはナンセンスだなと思ってしまいます。
本当に子供は強い。かしこい。
ちゃんと別れに向き合う
私も小学校の時に一度、転校を経験しています。
でも世田谷区から杉並区という近い距離での転校だったので、行こうと思えば行けるし、またいつでも会えると思っていました。
だからあまりお別れについて直視していなかった気がします。少し照れ臭くて、寂しい気持ちに向き合いたくなくて、ヘラヘラしてやり過ごしてしまいました。
そんな子供時代の私に比べ、今の我が子たちは立派だと感心します。
ちゃんと別れに向き合って、いろんな複雑な気持ちを抱えて、それでも日々の友達との時間をめいっぱい楽しんで、最後に感謝の気持ちを綴る。
ものすごい心の成長を遂げていると思います。
私たち親がした「移住」という選択は、子供たちにとって酷な面も確かにありますが、子供たちはそれをちゃんと乗り越えられる力を持っている。
持っていると信じながら、瞬間瞬間揺れ動く気持ちには目を逸らさず、話を聞いたり、ともに歩んでいきたいと思っています。