自分を大切にしてみたら、自分にも周りにも豊かな波紋が広がった。

「ママー!おかえりー!」

「◯◯ちゃんとつくったよー!」

「見て見てー!」

玄関のドアを開けるやいなや、はしゃいだ様子の子どもたちが目に飛び込んできた。

そろって頭に新聞紙の帽子をかぶり、思い思いのポーズを決め、また部屋に戻っていく。一番チビは足にまとわりついている。

「おかえりなさい!」

やわらかい笑顔で出迎えてくれたもう一人はシッターさん。

4人の笑顔を見て、それまで気が張っていたわたしの顔もほころんだ。

今回も諦めよう

とある日曜日、すごーく魅力的で出てみたいワークショップがあった。

けれどその日、夫はずっと前から決まっていた研修で不在。

あー、今回も行けない。諦めないと。

子どもが生まれてから、こうやって諦めてきたことは何度だってある。今度も同じこと。

シッターさんに頼むとなるとお金がかかるし、3人まとめて見てくれるシッターさんに出会えるなんてわからない。

そこまでの手間とお金をかけてまでして行かなくてもいいんじゃない?

せっかくの日曜日、子どもと過ごすのが母親のあるべき姿じゃない?

いつもみたいに諦めたらいいんだよ。

そんな思いがぐるぐるしていた。

でも行こう!と決めた

でも、、、

もう一度自分に問うてみた。

本当に諦めていいの??

うーーーん

やっぱり行きたい!

この自分の気持ちを大事にしてみようと思った。

行くと決めたら、あとはそのための準備に頭を切り替えた。

登録しているシッターサービスで何人かに問い合わせをして、何人か目で受け入れてもらえそうな人に出会えた。

事前面談を設定して、1時間だけ家に来てもらった。

話をし、子どもたちと少し遊んでもらって、人柄や保育のスキル、子どもたちへの態度など申し分ないと思えたのでお願いすることにした。

子どもたちもたった1時間で打ち解けてしまったようだったので(うちの子たちは人懐っこい方ではあるけど)、それも安心材料になった。

お互いに豊かな時間

そして迎えた当日、

わたしは行きたかったワークショップで、想像していた以上の学びがあり、豊かな時間を過ごせた。

それはお金には換算できない価値。

行ってよかったと心から思った。

子どもたちはというと、

冒頭の帰宅の様子からもわかるように、本当に楽しい数時間だったようだ。

実は末っ子が病み上がりという心配要素はあったのだけど持ち直してくれた。

シッターさんが注意深く見てくれて報告を入れてくれていたのも心強かった。

私にはできないような工作をたくさんしていた。

新聞紙の帽子は長男はウルトラマン、長女はキティちゃん、次男はアンパンマンになっていた。

立体的なカブトムシの折り紙もできあがっていた。

カタコトの次男が「◯◯ちゃん」とシッターさんの名前を何度も呼んでじゃれていた。

あぁ、本当にお互いに豊かな時間を過ごせたんだなぁと感じた。

なにを天秤にかけるか

最初、「わたしがワークショップに参加することで得られる価値」と「シッターさんにかかる費用・手間」を天秤にかけていた。

他人に子どもを預けることによる「子どもへの心理的負担」や「怪我や事故のリスク」も考えなくもなかった。

でも、半日子どもをシッターさんに預けてみて、メリットの皿の方に他にも乗るものがあることに気づいた。

それは「子どもにとっても楽しく豊かな時間になる」ということだったり、「シッターさん(他人)への信頼感」だったり。

自分を大事にする決断をしたことで、自分にも周りにも豊かな波紋が広がって、大切なものにたくさん気づけた。

それは頭で考えていてもきっと本当のところではわからなかったことで、実際に預けてみたからこそ腹落ちした。

中島佐知子(サチカメ)

田舎暮らしに憧れ、東京から愛媛(西条市丹原町)へ家族5人で移住。念願の自然に囲まれた暮らしを楽しみながら、フリーランスとして出張写真撮影、古民家宿運営サポー...

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