全力を尽くした先に見えるもの。娘の運動会から。
紅組リードでアンカーへバトンをつなぐ。
アンカーの二人はクラスでも足の速い女の子たち。
二人ともぐいぐいと加速する。
なかなか詰まらないその差。
「あー!」と一瞬、声のない声で会場がざわつく。
白組アンカーの子が第三コーナーあたりで転んでしまった。
前を走る紅組アンカーの子はそれに気付いて少しスピードをゆるめて後ろを気にするが、すぐに前を向いてゴールまで駆け抜ける。
しばらくの間があって白組もゴール。
紅組アンカーの子は、ゴールの先でその様子をじーっと見届けている。
そして、肩を落としてとぼとぼと歩いてくる白組アンカーの子が近くにきたとき、小さく握手を求めるような素振り。
一瞬「なに?」という表情の白組アンカーの子。
すぐに「あ、あくしゅね!」と気付くと、がっちりその手を握り、ぶんぶんぶんと大げさに繋いだ腕を上下させる。
さっきまでの落ち込んだ顔はもうない。
二人くしゃくしゃの笑顔で笑いあっている。
運動会でがんばりたいこと
昨日の保育園の運動会での一コマである。
子どもたちは数ヶ月前から運動会のための練習を重ねてきて、その話は娘からも担任の先生からも聞いていた。
年長クラスらしい役割も与えられ、ほどよい緊張感と誇りを持って取り組んでいた。
運動会前日には「がんばりたいこと」を一人一人が発表したらしい。
◯◯ちゃんはこう言ってた、△△くんはこう言ってた
娘の話を聞きながら、子どもたちなりに、自分の中で目標をもってがんばれるように導いてくださっているんだなぁと嬉しくなった。
娘は「荒馬」という演目の中で、「この線を飛び越える」という課題を自分の中で持っているらしく、それを「がんばりたいこと」としていた。
他の子もそれぞれに目標を立てており、
その中でも紅組アンカーの子は「リレーでもし負けていても、最後まで全力で走る」というようなことを言っていたそうだ。
この話を聞いていたからか、冒頭のリレーのワンシーンが余計に深く深く心に刻まれた。
勝っても負けても全力を尽くすこと、そして仲間のがんばりを讃える気持ち、大事な大事なことがあのワンシーンにすべて込められていた気がして、惹きつけられた。
日々の積み重ねがあっての本番
娘たちの運動会を見ていると、練習からすべてが始まっていたと感じる。
新しいことに挑戦すること、役割をしっかり果たすこと、友達を思いやること、自分で目標を設定してクリアすること、ふざけたい気持ちをガマンすること、結果はどうであれ全力を尽くすこと、、、
いろーんなことが練習の段階から含まれていて、子どもたちはそれを体感しながら体ごと学んでいる。
だから見ているこっちも熱い気持ちになる。
日々の積み重ねがあっての本番、本番はあくまで練習の延長なんだなぁと見ていてすごく感じた。
おそらく担任の先生はそれをちゃんと意識して練習から本番までをデザインしてくださっているのだと思う。
全力を尽くした先に見えるもの
全力を尽くしてがんばっている子どもたちの姿からは、親として、、、という枠は超えて、一人間として、姿勢を正された。
最近は、疲れないように疲れないように、程よく力を抜いているなぁと思う(力み過ぎないのも大事だけれどね)。
そんな屁っ放り腰の自分に対して、「出し惜しみしないで、ガツンといきなよー!!」って言われているような気がした。
息切れすることを恐れて全力で走れないのは、自分を守るためには大事だし、ある意味オトナになったということかもしれないけど、
子どもたちを見ていると、全力を尽くした先にあるものを見てみたいという気持ちが自然と湧いてきた。