電車の旅とバスの旅。誰かの「好き」にとことん付き合う。

「でんしゃのりたい!」「バスのりたい!」

と呪文のように毎日唱えているのが我が家の次男。

保育園での自分のマークが「バス」だったことからバスに興味を持ち、消防車や救急車などの緊急車両、ゴミの収集車、ショベルカー、ミキサー車、タクシーなど関心が広がり、最近は電車にも目を輝かせるようになった。

男の子ならこういうことあるよね〜。と微笑ましく眺めつつも、その熱の上げ方には少々たじろぐものがある。

保育園の帰りに「くるま、みたい!」と言われれば、ちょっと遠回りして大通りに出て車を見物するというのも、気がつけば日課になっていた。

そんな次男、ある時から「でんしゃのりたい!」「バスのりたい!」と乗ることに情熱を向けるようになった。

それからは毎週末のように、「電車の旅」「バスの旅」が始まった。

正直言って、私は電車やバスといった乗り物に、これまで興味を持ったことはない。電車もバスも、ただの移動手段。それ以上の意味はない。

けれど、次男にとっては電車もバスもエンターテイメントなようだ。

「でんしゃのりたい!」「バスのりたい!」コールに押され、自転車で行けるところへわざわざバスを使って行ったり、用事を作って電車に乗ってみたり、この1ヶ月くらい、毎週末のように電車かバスに乗っている。

どの電車に乗っても「ちゅーおーせん、のったねー」という、情熱とは裏腹のラフさ加減も憎めない。

バスはだいたい京王バスなんだけど、広告の違いでデザインがまったく違ったりするので「きいろいバスのったね!」「みどりのバスのったね!」と、こちらは違う種類ととらえているようだ。

すっかり子どもに振り回されている休日。

本当は私にも他に行ってみたいところややっておきたいことがあったりもする。

「いつまで子どもに振り回されなきゃならないんだー」と思いそうになったところで、ふと立ち止まる。

いや、私、振り回されるのをそんなに悪く思ってないよ?

子ども(に限らず、大切な人を)楽しませてあげることを主とした休日ってのもいいもんだよね。

自分がしたいことは、きっといつかなんとかして実現するものだと思う。いつか行きたい場所もやっておきたいことも、他のタイミングできっとやる。

でも、誰かと過ごせる時間って、いつまでも続くものじゃない。

だから、今私は子どもに振り回されている。子どもの「好き」にとことん付き合っている。

誰かの「好き」に付き合い、「好き」に触れていると、不思議と力がもらえるものだ。

中島佐知子(サチカメ)

田舎暮らしに憧れ、東京から愛媛(西条市丹原町)へ家族5人で移住。念願の自然に囲まれた暮らしを楽しみながら、フリーランスとして出張写真撮影、古民家宿運営サポー...

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