スマホ写真講座を開催しました!スマホは構図の勉強に最適なツール!

「知れば変わる!人物写真が得意になるスマホ写真講座@江戸東京たてもの園」、無事に開催しましたー!

一言で言うと、めっちゃ楽しかった。終わった後、なんだかすんごいホクホクしていて、写真って楽しいな、それを他の人と分かち合えるって幸せだなって感じてました。

講師という立場のわたしにとっても、新しい学びと発見の連続。”教える”ってものすごく広がりがある作業です。

スマホ写真講座を経て感じたこと、得たことを少しでも記録に残しておきたく、今これを書いています!

テキスト作りは頭の整理

今回のスマホ講座をするにあたり、テキストを作りました。

これまでの講座は紙の資料としてのテキストは作っていなくて、スライドや口頭で説明するものがほとんどでした。

でも今回は「知れば変わる!」とタイトルでうたっている通り、知識の伝授をしっかりしたい、かつ、撮影実習がメインの講座になるので、コンパクトなサイズ感のテキストがあるといいなと思っていました。

最終的にはこんなものをお渡ししました。

A5サイズで9ページ。

冊子にした後で誤植を発見し、当日の朝、家を出る10分前まで印刷・ホチキス止めをしていたという(笑)、できたてほやほやのテキストでした。

このテキスト、参加者さんにも喜んでもらえてうれしかったけど、何よりこれを作る過程で自分自身に得るところが大きかったんです。

講座の構成を考えるにあたって、まずは付箋に要素を書き出しました。それを分類して、並び替えて、大枠の流れを作り、それから細部に落とし込んでいきます。

テキストにする段階で、「これは絶対必要」「これが入ると返って混乱しそうだから省こう」と情報の整理ができました。

そしていざテキストに…という段階では、「この表現で合ってるんだっけ?」「これってつまりどういうこと?」と、あいまいだった部分がどんどんクリアになっていきました。

作りながら、だんだんと伝えたいことの軸も明確になっていき、手前味噌ながら、なかなか良いテキストに仕上がったと思っています。

「今日、お伝えしたい最低限のことは、このテキストに盛り込んだ!」ということ自体が自信にもなりました。

テキスト作成をしながら見つけた今回伝えたいことの軸は、「スマホの特性を知り、それを活かした写真を撮ろう」ということ。

この点はブレずにお伝えできたんじゃないかなと思います。

スマホカメラの特性を知る

今回の参加者は2名。お二人とも以前から知っている仲だったので、初めから打ち解けた雰囲気で始まりました。

「人物写真を撮る機会があって、もっと人に喜んでもらえる写真を撮りたいと思った」
「ワークショップやインタビューの写真を撮る機会が多い。どうやったらいい感じで撮れるのか知りたい」

と、それぞれに思いを持って参加してくださいました。

まずは「スマホとデジカメの違い」について。

それから、「光の向きと色」の話。

続いて「スマホカメラのレンズの特性」について、お話しました。

スマホカメラのレンズって、ほとんどの機種が「広角」レンズなんです。(iPhoneの最近の機種では広角と望遠の2つが付いていたりします)

広角レンズは、手前から奥まで広く写しこむことができるレンズで、遠近感が強調されるという特徴があります。

この遠近感を上手く使うと面白い写真が撮れます。

例えばこんな感じに。手前が大きく、先の方にいくにつれて先細りしていきます。

また、画面の端にあるものは歪むという広角レンズの特性、これを知っていれば、逆に集合写真などで人の顔を歪ませたくない場合は、人物をなるべく中央に配置する、などの配慮ができますね。

スマホカメラの特性を意識しつつ、園内の建物を移動しながら撮影しました。

かまど炊きや囲炉裏に火をくべる場面にも出会えました。

構図の作り方を知る

スマホカメラの特性を体験したところで、次はいよいよ絵作りの話。

ポートレート(人物写真)といえば、一般的には「縦位置」の写真になりますが、「横位置」にして背景を取り込むことで、物語性のある人物写真を撮る面白さについても触れました。

それから「ポジションとアングル」を変えることで、新しい視点が発見できるよ、というお話も。

それから、基本的な「構図」の例。

最後に「ポートレートのコツ」をいくつかお伝えしました。

参加者さん同士、お互いに撮りながら、習ったことを実践していきました。

通路の抜け感を利用した構図。人物をどこに立たせようか、あるいは座らせようか。ポーズはどうしたら?なにか持たせてみようか?と試行錯誤しながら撮りました。

試行錯誤と言ってもぜんぜん頭をかかえる感じじゃなく、一枚撮って、また一枚撮って、違いを比べて「いいね!いいね!」と楽しく撮影していきました。

意外な盲点、グリッド線

構図をきちんと取るための手助けをしてくれる「グリッド線」、これが意外と知られていないことを知りました。

グリッド線というのは、画面を縦横三分の一ずつのところに引いた線。

iPhoneだど、[設定>カメラ>グリッド]でON/OFFの切り替えができますよ。

Androidのスマホでも似たような感じで設定できるようです。

グリッド線を表示させておくだけで、三分割構図が取りやすいだけでなく、中心や水平・垂直もわかります。

過去記事にも書いたのですが、水平・垂直が取れていることって大事なんです。

微妙な傾きが人間の目に余計な違和感を与え、せっかくの主題がボヤけてしまったりします。

とくに、今回の舞台としたたてもの園のように、建築物などを撮る場合はきちっと水平・垂直を取ることでその美しさが際立ちます。

人物を撮るときも、背景となる建物や地面などの水平をきちんと撮ることで、余計な違和感を排除し、見た人にすっと入ってくる写真になります。

例えば上の2枚の写真を見比べてみても、縦横のラインがきれいに撮れているからこそ、中心の人物の動きの面白さに目が行くことがわかります。

水平を傾けるときは意図を持ってやること。そんなお話もさせていただきました。

参加者の1人は元々グリッド線を表示していたけど意識していなかったそうで、もう1人は今回初めて表示させてみました。

グリッド線を意識して撮影することで、いかに水平を取ることが難しいか、水平が取れたときのスカッとする感じを体感していただけたようです。

「グリッド線を表示させることで、構図の再現性が高まる」というのが、わたしの中でも一つの発見でした。

スマホは構図の勉強に最適

今回、やってみてのもう一つの発見は、「スマホは構図の勉強に最適」なんじゃないかということでした。

カメラだと絞りだのシャッタースピードだの画角だのさまざま要素が絡むけれど、スマホはボタン押すだけで撮れます。

しかもこの日は曇天だったので、光も気にすることなくできて、本当に構図に集中できました。

構図(背景と主題の配置、形、線、奥行き、水平、距離感、目線…すべて含めて)の作り方って一つぶつかる壁だと思います。

いくら背景がボケてても構図的にしっくりこなくて残念な写真が山ほどあることを考えると構図って大事。

わたしは写真を勉強していない人に比べて少しだけ構図についての知識がありますが、それでもまだまだ知らないことも多いし、説明できない部分も多いです。

今回の講座の中でも不思議な体験をしました。

参加者さんの画面を後ろから見ていて「あ!私ならもうちょい右、もうちょい下がる」って信号がピピピッと鳴った気がしたんです。とっさに体をくいくいっと動かさせてもらって、撮れた写真がみんな納得の良さがあって。

あれは何だったんだろう。頭や言葉より先に身体が動く感じ。

やっぱり写真って身体表現だなぁと思いました。

そのときはなぜよかったのか?の理由をすぐに説明できなかったのですが、もしも誰もが抱える「しっくりこなささ」みたいなのをちゃんと分析、言語化して伝えられるようになったら、「いい感じ」の写真を撮ることが難しいことではなくなるんじゃないかな。

写真はもはや写真家やカメラマンだけのものじゃなくなっているけれど、普通の人が普段何気なく撮る写真のレベルが上がっていったらいいなぁとわたしは思っています。

それは普通の人が豊かな文章力を身につけるのと同じように、写真を通じて伝え合えることの量や幅がぐっと広がり、より深いところでつながり合える可能性を秘めている気がするからです。

そしてその一歩は「知る」ことなのです。

まだまだ奥が深いスマホ写真

今回講座を開いてみて気が付いたことは、スマホ写真はまだまだ奥が深い、ということ。

今回は撮るときのことを中心にお伝えしましたが、実は撮った後の加工の楽しみもあります。

また、スマホに備え付けのカメラアプリだけでなく、特色あるカメラアプリもたくさん出ていて、それらを使ってみるのも表現の幅を広げてくれます。

そんなことを盛り込んだらまた一講座作れちゃいそうです。

わたし自身もいろいろと試しながら、スマホでの写真表現も楽しんでお伝えしていきたいです。

中島佐知子(サチカメ)

田舎暮らしに憧れ、東京から愛媛(西条市丹原町)へ家族5人で移住。念願の自然に囲まれた暮らしを楽しみながら、フリーランスとして出張写真撮影、古民家宿運営サポー...

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