破壊王から発明家へ転換。多様な視点から子どもを見ることの大切さ。

「あー!また壊したー!!」

「もう、やめてよーー!!」

夕飯を終え、それぞれが遊び始めた頃。背中の方で娘の泣き声が聞こえる。

行ってみると、誕生日プレゼントでもらったおもちゃの箱が一部ビリビリに破かれている。

バツが悪そうに伏し目がちな次男。

「たくちゃん、これはねーねの大事な箱だよ。破いちゃったらねーね悲しいよ?」

怒られたときはいつもそうするように、ヘラヘラと笑ってごまかし、ごまかしが効かないとわかると今度は視線を斜めに固定して決してこちらと目を合わせようとしない。

「壊しちゃったらもう元には戻らないの。だからちゃんとねーねにごめんねしようね?」

仏モードで説得を試みるも、かたくなに「ごめんね」の言葉を口にしない次男。

娘も「ねーねは悲しいんだ!なんでこんなことするの!」と気持ちをぶつけるけれど、硬直したまま話は平行線。

破壊王のレッテルが180度転換

こんなことがよくあるものだから、我が家では次男は「破壊王」とか「かいじゅう」と呼ばれ、どうしたもんかね〜と困り果てている。

上二人に比べると、物を壊す行為が明らかに多い気がしている。(忘れてるだけかな)

とくに被害をこうむっているのは兄と姉。それと絵本。

作った作品はことごとく壊され、兄姉のときから我が家にある絵本も、ここ数年でページが外れたり破かれたりが激しい。

保育園で問題になっていないか心配で、個人面談のときに尋ねたくらいだ。(とくに問題になっていないということでそのときは安心して帰ったのだけど)

面談からはしばらく経っていたので、また園での様子が変わっているかもしれないと思い、おもちゃの箱をビリビリにしてしまった件について保育園の連絡帳に書いてみた。

それに対して、担任の先生からの返答欄にはこう書かれていた。

もしかすると壊すというよりは、しくみに興味があったりして、そういうタイプになっていくのかもしれませんね。

これには目からウロコ。「破壊王」のイメージが一点、エジソンのような発明家のイメージにすり替わった。

さまざまなタイプの子を見てきた保育園の先生ならではの視点。

自分の子しか見てきていない親という立場では、なかなか気づけなかった視点だった。

そうか、次男には物の構造を知れて、好奇心を満たせるような、なにか別の仕掛けを用意してやればいいのかもしれない。

そうすれば、「壊す」という行動は問題行動ではなくなっていくだろう。

子育てって、親だけが担うものじゃなくて、やっぱりいろんな立場の人に関わってもらって成り立つものだ。

親だけの視点で見ていたら、すごく危うかった。

破壊王次男を問題児にせずに済みそうでよかった。

中島佐知子(サチカメ)

田舎暮らしに憧れ、東京から愛媛(西条市丹原町)へ家族5人で移住。念願の自然に囲まれた暮らしを楽しみながら、フリーランスとして出張写真撮影、古民家宿運営サポー...

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